20201115 食べ物のくちになる
今週のお題「鍋」
遠方から昼ごろに帰宅して、少し休んでから買い物に出かけた。寒い場所から帰ってきたため、東京の秋空はまだ暖かく感じた。しかし、午後も四時を過ぎた頃になると、気温が下がり、風が冷たくなってきた。
今日の晩御飯は何にしようかと考える。昼飯は、東京駅で牛タン定食を食べたのだった。少し高値だったから、質素にしようか。
わかめとネギだけを乗せたうどんとか、野菜を茹でたやつをポン酢でとか、いいかもしれないな。
そのとき道ですれ違った若者が、とつぜん「今日はやっぱり鍋だよねー!」と大きな声を出したものだから、うどんもポン酢もどこかへ飛んでいって、一気に「鍋のくち」になってしまったのだった。
スーパーへ寄り、さてなに鍋にしようかな、と売り場を眺めたところ、「モツ鍋セット」なるものが売っていて、牛モツとキャベツとニラがいっしょにパッケージされている。今度は一気に「モツ鍋のくち」になった。長距離の移動で疲れていて、思考が面倒になっていたのである。でも追加のモツとキャベツとモヤシを買うのは忘れなかった。
家に帰り、鍋に湯を沸かす。モツを軽く下茹でした後に「モツ鍋セット」付属のつゆを温め、モツ、キャベツ、モヤシを敷き詰め、その上にニラを乗せた。さらに上にスライスニンニクと鷹の爪を散らす。あとは蓋をしてしばらく煮れば出来上がり。
米と一緒に食う。途中、舌がくどくなってきたので、炭酸水にレモン汁を足したやつを飲みながら、さらにモリモリ食う。味の染みたキャベツがいちばん美味い。〆はラーメンである。
食べ終わる頃には体がぽっぽとして、腕捲りをしていた。
思えば、北の牛タン、南のモツ鍋と、贅沢をしてしまった。ステイホームが続くなか、こういう日があってもいい。