20190626 アイフォーンぱりぱり地獄

何をやってもだめな人間というのがいるし、何をやってもだめな日というのがある。

私はわりあい何をやってもだめな人間なんですが、この世に生を受けてから今日まで生活のコツみたいなものを研究し続けてなんとか生き延びている、という感じで、しかし赤子返りのように生来の駄目加減が顔を出して止まらへん、という日がまれにくる。

 

まず今日は財布を忘れた。そして財布を忘れたことに仕事から帰るまで気がつかなかった。

歩いていたらリュックの背面に入れていたワイヤレスイヤホンが暴発して、一緒に暮らしている犬のジョンに8回に渡るワン切り電話をかけていた。

帰路にドラッグストアに立ち寄った際、初めて財布がないことに気が付き、お風呂の防カビ燻煙剤が買えなかった。定期入れにいざという時用の千円札を入れていたので、バスクリーナーは買うことができてよかった。夕食はオムライスの予定だったので、卵も買えてよかった。

極め付けに、家に着き鍵を取り出そうとしたところ、アイフォーンを落として画面をぱりぱりにした。いま私はぱりぱりのアイフォーンでこの日記を書いています。

原因はわかっている。ドラッグストアで財布を探してリュックの中身がごちゃごちゃになっていたからである。混乱もしていたかもしれない。あの時アイフォーンをポケットに入れていたならば。ドラッグストアに寄らなければ。財布を忘れなければ。前日にきちんと財布をリュックに戻していたならば。この世に生まれてこなければ。

 

いま、私の脳内ではアイフォーンを落とした瞬間が走馬灯のように、スローモーションで何度も再生されています。現代人が地獄に落ちたら、アイフォーンを落としてぱりぱりに割る瞬間を10万年くらい見せ続けられる地獄ある思う。アイフォーンぱりぱり地獄。

駄目人間は駄目なりに善行を積んで天国に行きたいと願う。