20190621 地域格差は根深い

実家から佐藤錦が届く。

 

f:id:tateoka_fujin:20190621175934j:image

きれいでしょう。

 

私の故郷はさくらんぼの名産地であったため幼少の頃から身近な果物である。初夏の冷蔵庫には常に近隣の農家よりいただいた売り物にならない実がボウルいっぱいに詰まっていた。小学校の教室には佐藤錦の生みの親である佐藤栄助の伝記があった。大きな声では言えないが、秘密基地を作った空き地の裏にはネット越しにさくらんぼ畑が広がっており、空腹時に2、3いただいたことがある。時効と思い書く。今では空き地も畑も潰されアパートが建っている。

 

現在、故郷から500km弱離れた場所に住んでいる。こちらの土地でもこの時期になると商店に佐藤錦が並ぶ。色が悪く、実が小さい。食う気にもならないのでわからないが味も良くないと推察する。そして高い。

一緒に暮らしている犬のジョンはこちらの出自であるが、以前さくらんぼの話をした際に「さくらんぼはコスパが悪い」と宣った。値段の話かと思ったがよくよく聞いてみると「実に対して種が大きく可食部が少ない」という意味らしい。持ちうる限りの語彙で詰った。お前は本当のさくらんぼを知らない。視野が余りにも狭い。自身の経験のみで物事を判断し損をしている。etc.

 

たった数百km離れただけでさくらんぼがこれ程に珍しいものになることに毎回驚いてしまう。同じ日本なのに。令和なのに。21世紀なのに。地域性と言えば聞こえはいい。名産品ならブランドになる。しかし教育や医療の話になるとまた別問題で、かつての私は学びを求めて故郷を飛び出したんでした。人の多いところは良いです。勉強がしやすいので。

今はインターネットのおかげで随分と格差の幅は狭まったものの、やはりスピード感が違う。これについて知りたい、思ったときにすぐに専門家の話を聞きに行ける、実際に習いに行ける、講座を受けることができる。知識は欲が出たときがいちばん吸収率が高いと思う。

 

この日記は日々の記録なので特に主義主張は持たないのですが、もし現在、地方での狭い関係ゆえに苦しむ若い方がいるのであれば、是非一生懸命お勉強をしてより広い世界に出るか、より質の良い学びの場を選択することをおすすめします。故郷を愛したり憎んだりするのは他の環境を経験してからでも遅くないので。

私はそうやってインターネットに助けられてきた。