20190226 ほうれんそうのおひたし

高校生のとき家庭科の調理実習でほうれん草のお浸しを作った。他は豚汁、炊き込みご飯、粉ふき芋など。担当は定年間近の女教師であった。

和食で固められた地味な献立に生徒からは不満の声も上がっていたが、今ではほうれん草のお浸しには料理の基本や面白味がよく詰まっていると思う。
 
土がついている根本はていねいに洗うこと。沸騰したたっぷりのお湯にほうれん草を茎から入れる。当然茎の方がかたいからです。箸で沈めながら1分ほど煮ると、みどり色が鮮やかになってくるでしょう。湯からあげたら手早く冷水で冷やす。水にはつけすぎず、すぐにあげる!水気をよく切って、均一に切りわけ、お皿に盛る前にもう一度水気を切る。割醤油と、鰹節をかけて、できあがり。
 
全ての工程に美味しく仕上げるための理に適った方法があり、作っていて気持ちが良いのだ。やり方を間違ったり、作業を怠ったりしなければ、失敗はしない。調理実習で出来上がったほうれん草のお浸しの味は、よく覚えてはいないのだが。
 
ほうれん草のお浸しを常備菜でよく作る。作る最中に、人生も、すべてこんな風に理に適ったものであれば良いのにな、とよく思う。
生きるのが下手なのだ。咄嗟の判断を誤りよく失敗する。
ほうれん草をお湯に入れるのは茎から、と決まっているように、靴を履くのは右足から、そうすれば今日はいい日になる、と決まっていれば、私はそれを怠らずに守るだろう。
 
しかし人生にそんなうまいコツがあるはずもなく、今日も壁にぶつかりながらなんとか生きている日々です。